[面接]お母さまの作るお料理で好きなものは何ですか?

食べることは子どもにとってとても身近でわかりやすいので、
食事やおやつについて面接で聞かれることがよくあります。

「お母さまの作るお料理で好きなものは何ですか?」

なんでもない質問のようですが、
なかなかどうして、普段着の家庭の中が見えることがあります。

「大根です」

「へぇ~、お野菜が好きなの、えらいえらい」、、ではありませんよ。
「料理」と聞かれているのに、大根は素材であって料理ではない。
質問の理解ができていないことになります。
せめて「大根のお味噌汁です」とか「大根サラダです」くらいは言ってほしい。

大根だから気になるようですが、「お肉です」も同じことです。

「レモンとバジルのチキン香り揚げです」

ん?
料理名が立派過ぎて、これはただ事ではない。
もしかして、、
それって、冷凍食品名、、ですよね?

「お母さま、あまりお料理はなさらないのね」と邪推されかねません。
お忙しいのはわかりますが、
レンチンディナーは11月まで我慢する方が賢明でしょう。

「カレーです」

これは無難。
ただ、
「おうちのカレーにはどんなものが入っているの?」、
「カレーを作るお手伝いをしたことはありますか?」、
「どうやって作ったの?作り方を教えて」
「包丁を使うときはどんなことに気をつけるの?」などなど、
身近過ぎて話が発展しやすい答えでもあります。

「カレイの煮付けです」

これ、個人的にぐっときた答えです。
丁寧な日常が浮かんで見えたようでした。
思わず拍手。

だからといって、「好きな料理を聞かれたら、○○と答えなさい」
などと調教するのは絶対厳禁、論外です。
そういうやり方では本番当日の緊張の中、
模範解答が思い出せず、子どもは貝と化します。

「やばい、ママに殺される」と顔面蒼白、
おびえ切った表情でママの顔色を窺うところまでやってくれれば、
恐怖政治の家庭内が一瞬で露見、はい、THE END。

面接では、自分の感性、自分の意見、自分の言葉しかあり得ません。

日々の食卓を彩り豊かにし、ゆっくりと丁寧な日常の中、
温かい会話を積み重ねながら、子どもの豊かな感性を育んでいくないのです。

学校が見たいのは、そういった家庭のあり方そのものだからです。

2020年08月02日