具体的な出題例をご紹介してみましょう。
昨秋の入試で、慶應義塾幼稚舎出題課題の一つです。
まず、先生が自動販売機の話を振り、子どもたちが知っていることを話します。
ちょっと変わったおもしろい自動販売機の絵も見せられます。
「では、こんなものが出て来たらいいなという『夢の自動販売機』を作りましょう」と言われ、
販売機を描く画用紙(取り出し口のところが切り取られている)を描き、
出て来たらいいと思うものをカラー粘土で作ります。
粘土作品は、たとえば伊勢海老など高価なものにした子どもが多かったようで、
なんだか大人の発想だなと笑ってしまいました。
さて、「幼稚舎には博士が受かる」とよく言われますが、
こういう課題で本領発揮というところでしょう。
私の身近にも、ユキヒョウ博士、フクロウ博士、クワガタ博士、乗りもの博士などたくさんいます。
たいてい男子ですね。
できあがると先生が回って来て、画用紙を立てて販売機を見せます。
「何の販売機?」などと質問されてやり取りをし、
先生が「チャリン」と金を入れる振りをしたら、取り出し口から粘土作品を出して説明します。
幼稚舎を受ける子どもたちは絵や制作が得意な子どもが多いですが、
それでも作品の仕上がり自体が合否を分けるというよりは、
独自の発想力や熱量といったものの方が重視されます。
「伊勢海老は高くてなかなか食べさせてもらえないから」という答えよりも、
「この色のユキヒョウはとてもめずらしくて、爪の形が〇〇に便利なように独特で・・・」など、
熱い思いと博学さを披露する方がずっと魅力的に見えるはずです。
だいたい博士たちはいつもそればかり考えているので、
描かせても作らせても押し並べて上手いですし。
自らら興味関心を持って突き進む「夢中」を持っている子ども。
学校が探しているのはそんな子どもと言えるでしょう。
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