「うちの子は話が苦手で…」とおっしゃるお母さま方のご相談をよく受けます。
面接はもちろん、個別や絵画制作の中、あるいは移動や休憩時間など、
考査中に先生と話す機会を学校側は昨今意識的に増やしているというのに、
「うちの子は話が苦手」ではさぞご心配なことでしょう。
さて、そういう母子を見ていると、
「○○ちゃん、こういうことでしょ?」
「あなたはこうしたいのよね?」
お母さま方が話の先取りをしてしまう傾向が強く見受けられます。
子どもはただ、首を縦か横に振るだけ。
それだけで意思の疎通が図れています。
さすが、阿吽の呼吸‥どころではありませんよ!
子どもが話さなくても済む状況を作っているお母さまに原因があるのです。
話さなくては希望が通らない、思いが伝わらないのであれば、
子どもは何とかして自分の言葉で、自分の思いを伝えようとします。
それが子どもの話す力を伸ばす唯一の方法です。
お母さま方もわかってはいると思います。
でも、先回りしてしまう。
その方が早いから。
その方が効率的だから。
お母さま方は時間に追われ、日々忙しいから。
でも、それと引き換えに、何よりも大切な子どもの成長の芽を摘んでいる。
そのことにもっと意識を向けていただきたいと願います。
私自身も子どもの母で、子育ての大変さは理解しているつもりです。
ただ、振り返って一番後悔することは、
なぜもっと待ってあげなかったのだろう、ということなのです。
なんであんなに急いだのだろう。
なぜあんなに人と比較をしたのだろう。
なぜ、もっともっとと追い立ててしまったのだろう。
長い人生の中のほんの一瞬の遅れを、どうしてあんなに気にしたのだろう。
いくらでも取り返しがつくことだったはずなのに。
子どもが自分の言葉で思いを伝える時間を、
もっとゆっくり、もっと大切にしてほしいと願っています。
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