負けられない子どもたち

小学校受験の行動観察課題には学校側の工夫を感じます。
それは、子どもを夢中にさせる工夫です。
なぜか。

お行儀よく、幼児教室で叩き込まれた通り一遍のやり取りからは見えて来ない、
子どもの本当の姿を見るためです。
その言葉や行動は、教え込まれ、作られたものなのか。

そこで、楽しいゲーム形式の課題であったり、チームで勝ち負けを競わせたりします。
そう、勝敗が懸かるとなると真剣になり、子どもは本性を剥き出します。

学校側が見ているのは、もちろん勝ち負けではありません。
勝ったチームが合格するのではもちろんない。
取り組み姿勢や周囲とのやり取り、状況判断力や臨機応変に対応する力、工夫力など、
瞬時に実に多くのものを読み取っています。

でもこの同じ瞬間、子どもは完全に勝敗の行方に気を取られています。
下手に「今日は大事な日」などとわかっているものだから、
死んでも負けてはいけないと思い込んでいたりします。

負けようものならさあ大変。
ママに知れたら殺されると泣き出してしまったり、
ふてくさったり、人のせいにしたり、あからさまに心折れたり…。

最近の子どもは、「負ける」という経験値が圧倒的に不足しています。
きょうだいが多ければ日常的に負ける機会もあるはずですが、
一人っ子だったり初孫だったり、どこへ行ってもプリンス、プリンセス。
いつも一番、何でも一番、「〇〇ちゃんはすごいね~」のオンパレード。

こうして大切な考査当日に初めて敗北を経験し、自分を失ってしまう。
そうならないよう、今のうちに負けておいてください!
トランプでもいいし、スゴロクでもいい。かけっこでも豆つかみ競争でも何でもいい。
負けておいてください。
これも大切な受験準備、そして将来への準備です。

2020年07月22日