【暁星小学校】校長先生との対談(3)

*入試で重視すること
・話をきちんと聞けること
「話をきちんと聞くことが大事です。運動会をご覧いただいてお分かりになる通り、1年生から号令ひとつで整列をして、みんなでまとまって行進したり、そういった部分も大切にしている学校です。外に連れ出す機会も多くあります。ですから、担任ひとりの号令でぱっと動く、担任の指示に正確に動くことが大切になります。ですので、きちんと聞けるか、その聞いたことがちゃんと理解できるかというところは、入試でも大切にしたいと考えています。」

・集団活動
「二次試験では、子どもたちが学校生活、集団生活に適しているかどうかを見たいと思っています。とくに、私たちのような男子40人の集団生活をやっていけるかというところです。ですから、自分が担任だったら、この子がうちのクラスにいたらどうかという観点で見ています。目立てばよいというものではありませんし、逆に、目立つとマイナスになる可能性もあるかもしれません。」

・取り組み姿勢
「丁寧さや、きちんとこつこつできるかといった、取り組み姿勢を見ます。入学後の成長に大きく差が出るからです。できた、できない自体よりも、どう取り組んでいるかが大切です。」

・指示を守ること
(プラレールには触らない方が良さそうです!!)

・話し合いのプロセス
「うまく話し合いをまとめられるかどうかを見ています。」

・けじめ
「楽しいことが起こって、ワーとかキャーとか言ったからいけないということではありません。騒いだらだめなのではなく、そこで調子に乗らないことが大切です。切り替え、けじめ。暁星小学校では、入学後、そういうところをしっかり指導しています」

*受験準備について
「ある程度の準備は、私は必要だと思っています。ただ、本当はそれ以上のものが見たい。本当の姿。たとえば、今のうちにいる子どもたちを見ても、入試のときにはチェックできなかったけれども、実際学校生活が始まったら、友だちとうまくコミュニケーションが取れない子とか、集中力が持続しないとか、そういう子が必ずといっていいほどいます。そのような素の部分をできるだけ見ることはできないかと思います。私どもとしては、もちろんそのトレーニングをして見えなくなっている部分が、もうちょっと見えるようになる試験をやりたいなとは思っています。」

<編集後記>
今回のご報告は以上とさせていただきます。考査について、かなり突っ込んでお答えいただいたのですが、それはさすがに公開いたしかねます。また、それが学校とのお約束でもございます。今後の私どもの指導の中に活かしてまいりたいと思います。

そして、「校門を出るまでが試験」というお言葉もございました。気を引き締めてまいりましょう!

暁星には、高校までの進学校であることの強みがあります。大学までの一貫校は、どうしても生ぬるく、中だるみが起こりがちです。発達段階的見地からも勤勉が求められる時期で、まさに鍛える時期なのですが、それが欠けてしまいがちです。なぜなら、その必要性を理解することが難しい環境だからです。暁星では、早い時期に人生の目的を考えざるを得ません。自分は何者なのか、何がしたいのか、どんな価値観を持っているのか、そして、何ができるのか。そういったことに、常に真正面から向き合わなくてはなりません。今回のお話をうかがって、それが暁星の卒業生たちの社会での活躍につながっているのではないかと強く感じました。

中学1年のゴールデンウィーク明け、大学受験の志望校を第3希望まで、学部まで含めて提出した記憶があります。そこからクラスが分かれ、理系、文系、私立、国立などにより、同じクラスであっても別々の授業を受けたりしていました。そのような環境の中、ただ偏差値やよい就職先だけを考えるのではなく、宗教的バックボーンに支えられ、世の中の役に立ちたい気持ち、使命感を持つ。そこから医学を志す生徒が多くなるということにも納得します。

人生の目的と使命感が育つことで、常に切磋琢磨し合って向上を目指し、大学入学後も学び続ける人となるのでしょう。変化が大きい時代だからこそ、常に自己研鑽を続ける姿勢は最も強い武器となります。仲間との絆の意識も、それを後押ししてくれるはずです。皆も同じように頑張っている。辛いときがあっても、自分だけではないと信じられます。

勉強、成績、あるいは競争といった外部からのイメージよりも、ずっとあたたかく、心の教育の行き届いた、人間関係を大切にする学校です。子どもたちはいつも活き活きと、常に全力で、どんなことにも高い熱量を持って、夢中で取り組んでいるように見えます。集中力の高さ、けじめ、礼儀はピカイチです。不合理な無駄や中途半端な生ぬるさがない分、厳しく映ることもありますが、より高みを目指して前進している証とも言えます。

楽しさや自由ばかりが強調される小学校教育もありますが、無からは何も生まれ得ません。不必要な甘えは人を成長させることがありません。新しい未来で大きく活躍する子どもの姿を想像し、子どもの力と可能性を強く信じ、敢えて鍛錬の道を選ぶことも、親として大切な選択と言えるのかもしれません。

2021年06月11日